安保法案を巡る議論(1)~集団的自衛権とは?
1 シルバーウィーク明けで,何となく力が入らない今日この頃。
皆さんは,どのように連休を過ごされたでしょうか!?
僕は,連休を利用して未だとれていなかった夏休みがてら,長崎・福岡に旅行に出掛けてきました。
特に長崎は初めて訪れた街でしたが,港の周り囲む街並みや山並みは,とても整然とし,豊かな雰囲気に感じられ,稲佐山からみる夜景もとても神秘的で綺麗で,非常に印象深く,楽しい旅行になりました。
港,ちんちん電車,被爆地と広島と多くの共通点がある街ですし,時間があれば,再び訪れてみたい街だと思いました。
そんな休みの雰囲気に後ろ髪ひかれる思いですが,休み気分もそこそこにして,少しずつ気を引き締めて頑張りましょう!
さて,本日の話題です。
2 いわゆる「安保法案」の成立
19日未明,参議院本会議は,「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」を可決しました。
両法案のうち,前者は,自衛隊法,PKO法など10の法律を改正するもので,後者は,自衛隊による協力支援活動等に関する新たな法律を制定するものですが,それらは一括審議されたため,「安全保障法案(安保法案)」と総称されていました。
安保法案は,国際平和支援法の既に衆議院を通過しているため,これにより法律として成立したわけですが,安保法案を巡っては,連日,報道がなされ,賛否両論が取り沙汰されていましたので,皆さんも何となくご存じだろうと思います。
3 「集団的自衛権」って何?
安全保障法案は,限定的ではあるものの,「集団的自衛権」の行使を認めるものですが,そもそも,「集団的自衛権」とは何なのでしょうか?
国際法上,自衛のための実力の行使である自衛権には,「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の2種類があるとされ,簡単にいえば,「個別的自衛権」とは,自分に対する不正な攻撃に対して自分が反撃をする権利をいい,「集団的自衛権」とは,他人に対する不正な攻撃に対して自分が反撃する権利をいいます。
例えば,誰かから「僕」が殴られそうになったときに僕が殴り返すのは「個別的自衛権」で,誰かから「僕の友達」が殴られそうになったときにその友達を助けるために僕が殴り返すのは「集団的自衛権」という喩えで説明すれば分かり易いでしょうか。
「正当防衛」という言葉がありますが,刑法は,「急迫不正の侵害に対して、『自己又は他人』の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。」と定め,その両方を正当な行為と認めていますから,憲法論・法律論をひとまず離れば,我が国の防衛の在り方を考えるときに,政策論としては,「個別的自衛権」,「集団的自衛権」をともに認めるという考え方はありうる考え方なのだろうと思います。
4 安保法案を巡る賛否の議論
安保法案を巡っては,そもそも自衛隊なんかがあるから戦争の危険が高まるのだという理由から反対するひともいれば,国際社会において我が国が生き抜いていくためには自衛隊は必要だけど,憲法がそれを許していない以上,憲法改正をしなければ,安保法案の成立は認められないという理由から反対する人もいれば,現代の国際社会においては,広範囲に被害を生じる大量破壊兵器などの危険兵器が容易に使用されるおそれがあるのだし,我が国も少しでも国際的に諸外国と対等な立場に立てるようにするためには,集団的自衛権を認めていく安保法案の成立は必要だという理由から賛成する人もいるなど,その賛否の根拠は様々です。
ところが,ご承知のとおり,安保法案を巡っては,多くの法律家が憲法違反であるとして反対をしている状況にあるわけですが,それは,何故なのでしょうか?
次回からは,法律家の視点から,「集団的自衛権」を巡る議論の状況をご説明しながら,「立憲主義」とは何なのかを考えてみたいと思います。
(続)
皆さんは,どのように連休を過ごされたでしょうか!?
僕は,連休を利用して未だとれていなかった夏休みがてら,長崎・福岡に旅行に出掛けてきました。
特に長崎は初めて訪れた街でしたが,港の周り囲む街並みや山並みは,とても整然とし,豊かな雰囲気に感じられ,稲佐山からみる夜景もとても神秘的で綺麗で,非常に印象深く,楽しい旅行になりました。
港,ちんちん電車,被爆地と広島と多くの共通点がある街ですし,時間があれば,再び訪れてみたい街だと思いました。
そんな休みの雰囲気に後ろ髪ひかれる思いですが,休み気分もそこそこにして,少しずつ気を引き締めて頑張りましょう!
さて,本日の話題です。
2 いわゆる「安保法案」の成立
19日未明,参議院本会議は,「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」を可決しました。
両法案のうち,前者は,自衛隊法,PKO法など10の法律を改正するもので,後者は,自衛隊による協力支援活動等に関する新たな法律を制定するものですが,それらは一括審議されたため,「安全保障法案(安保法案)」と総称されていました。
安保法案は,国際平和支援法の既に衆議院を通過しているため,これにより法律として成立したわけですが,安保法案を巡っては,連日,報道がなされ,賛否両論が取り沙汰されていましたので,皆さんも何となくご存じだろうと思います。
3 「集団的自衛権」って何?
安全保障法案は,限定的ではあるものの,「集団的自衛権」の行使を認めるものですが,そもそも,「集団的自衛権」とは何なのでしょうか?
国際法上,自衛のための実力の行使である自衛権には,「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の2種類があるとされ,簡単にいえば,「個別的自衛権」とは,自分に対する不正な攻撃に対して自分が反撃をする権利をいい,「集団的自衛権」とは,他人に対する不正な攻撃に対して自分が反撃する権利をいいます。
例えば,誰かから「僕」が殴られそうになったときに僕が殴り返すのは「個別的自衛権」で,誰かから「僕の友達」が殴られそうになったときにその友達を助けるために僕が殴り返すのは「集団的自衛権」という喩えで説明すれば分かり易いでしょうか。
「正当防衛」という言葉がありますが,刑法は,「急迫不正の侵害に対して、『自己又は他人』の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。」と定め,その両方を正当な行為と認めていますから,憲法論・法律論をひとまず離れば,我が国の防衛の在り方を考えるときに,政策論としては,「個別的自衛権」,「集団的自衛権」をともに認めるという考え方はありうる考え方なのだろうと思います。
4 安保法案を巡る賛否の議論
安保法案を巡っては,そもそも自衛隊なんかがあるから戦争の危険が高まるのだという理由から反対するひともいれば,国際社会において我が国が生き抜いていくためには自衛隊は必要だけど,憲法がそれを許していない以上,憲法改正をしなければ,安保法案の成立は認められないという理由から反対する人もいれば,現代の国際社会においては,広範囲に被害を生じる大量破壊兵器などの危険兵器が容易に使用されるおそれがあるのだし,我が国も少しでも国際的に諸外国と対等な立場に立てるようにするためには,集団的自衛権を認めていく安保法案の成立は必要だという理由から賛成する人もいるなど,その賛否の根拠は様々です。
ところが,ご承知のとおり,安保法案を巡っては,多くの法律家が憲法違反であるとして反対をしている状況にあるわけですが,それは,何故なのでしょうか?
次回からは,法律家の視点から,「集団的自衛権」を巡る議論の状況をご説明しながら,「立憲主義」とは何なのかを考えてみたいと思います。
(続)
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