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zoom RSS  GPS捜査とは?〜15日の最高裁判決を巡って(2)

<<   作成日時 : 2017/03/21 12:39   >>

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1 こんにちは。

  午前中の法廷,書類の作成が終わって,少しぼーっとしているところです(笑)。
  歓送迎会と,しばらく飲み会が続きますが,頑張って参りましょう。

  さて,本日の話題です。

2 最高裁の判断

 最高裁は,15日,車両の使用者の承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握するという捜査の方法(GPS捜査)は,基本的には立法措置がない限り許されない捜査手法であるとし,その証拠能力を認めない判断をした。

 前回ご説明したように,GPS捜査を巡って,大阪地裁,大阪高裁の判断は,令状を得て行わなければ違法とされる捜査方法なのか,などをめぐり見解が分かれていたため,最高裁の判断が集められていました。

 今回の最高裁の判断の要旨は,

・ GPS捜査は,対象車両の位置情報を検索し把握するために行われるが,その性質上,公道以外のプライバシーが強く保護されるべき場所・空間に関するものを含め,車両の所在・移動を逐一把握することが可能となるものであるから,個人のプライバシーを侵害し得るもので,それを可能とする機器を個人の所持品に秘かに装着することは,令状がなければ行うことのできない捜査方法である

というもので,その証拠能力を肯定した控訴審の判断を否定し,第一審の判断を支持した。

 それでは令状を得れば行える捜査方法なのかということが問題になるわけで,実際,捜査手続を定める刑事訴訟法には,対象物を観察するための捜査手法として,「検証」という方法が定められ,これを強制的に行うために「検証令状」を得るという方法が定められているため,「検証令状」を取得すればGPS捜査が行えるという考え方が存していたのですが,これに対し,最高裁は,要旨,

・ GPS捜査は,「検証」に類似する性格を有するものではあるが,(検証が既に所在が判明しているものを観察するという性格のものであるのに対し,その所在すら分からない)車両の所在の検索それ自体を可能とするものであるという「検証」では捉えられない性質を有すること,犯罪とは関係のない過剰な所在の把握を抑制できないこと,(「検証令状」によるのであれば)令状の事前呈示が必要であるが,GPS捜査は秘かに行うのでなければ意味がなく,事案ごとに令状を発付する裁判官が,それに代わる的確な条件を選択することは適当でないことから,現行法には定められた令状によることには疑問がある

・ GPS捜査が今後も広く用いられ得る有力な捜査手法であるとすれば,その特質に着目して憲法,刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられることが望ましい


と判断し,検証令状を得て行うという方法に否定的な見解を示し,GPS捜査を行う要件・手続について,新たに立法措置を講じて行うのが望ましいという見解を示しました。

 この判断は,最高裁の大法廷で行われたもので,15名の裁判官全員一致の判断であるから,非常に重たいものです。そのうち3名の裁判官は,その判断に賛成した上,立法措置が講じられるまでの間は,「ごく限られた特別の事情の下での極めて慎重な判断」により,条件付きの(検証)令状の発付を得て,GPS捜査を実施することは可能であるという補足意見を付してはいるものの,そのハードルは高いですし,具体的にどのような条件を付せばよいのか明らかでないため,今後,捜査機関は,立法措置が講じられるまでの間は,GPS捜査の実施は控えざるを得ないでしょう。

 報道によれば,警察庁は,この判決を受け,同日,全国の都道府県警察に対し,「検証として行うものも含め、移動追跡装置を用いての車両の位置情報を取得する捜査を控えるよう指示」する通達を出し,「判決内容を精査し移動追跡装置の捜査のあり方を関係省庁と連携し適切に検討していきたい」というコメントを発表したそうです。

3 今後に注目

 写真撮影,ビデオ撮影,ポリグラフ検査,通話・通信履歴の取得,DNA型鑑定,微物鑑定,デジタルフォレンジックによるデータの保全・復元など,挙げればきりがありません,時代とともに捜査手法は変化しうるし,それらの捜査手法が,どのような性格を有するものなのかの評価は変わりゆくものでしょう。

 それらの手法の中には,捜査機関により民間機関の方が専門的な知識・能力を有するものも多いのが実情ですし,被害者,被疑者,その他国民それぞれの立場によって評価が分かれるものも少なくありません。
 実際,GPS捜査の適法性については,様々な見解が唱えられていたわけで,それに対し,明確な法的ルールが存したわけではありませんから,従来,捜査機関が,令状を得ることなく,GPS捜査を実施していたことそれ自体が責められべきものではないでしょう。

 全国に公判係属中・確定済みの同種事案を含め,今回の判断が及ぼす影響は少なくないですが,今後,国民各層において幅広く交わされ,警察庁・法務省などの関係省庁において十分議論を尽くし,国会における審議を経ていくという過程で,GPS捜査が,どのようなものとして取り扱われていくのか注目したいと思います。

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